…TRIANGLE…

 ナツくんは、力いっぱい私を抱きしめて、そのままため息を吐き出した。


「ごめん……穂香」


「ど、どうしたの?」


「しばらく動かないで」


「う、うん」


 訳がわからなくて、ただじっと抱きしめられる。それはナツくんがこの先を焦らないように我慢してくれていた時間だと気がついて、申し訳ない気持ちになった。


 中絶した子を知っていて、そういうことが怖い。


 隼斗には言えなかったこと、私は同じ失敗をしないためにナツくんにはそれをちゃんと伝えることができた。

 
 だけど、男の子にとって、それってすごく辛いことらしい。と、隼斗が教えてくれたんだ。


 いつか受け入れてやれ、って隼斗が教えてくれた。









 
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