…TRIANGLE…


 大股で歩いて隼斗たちに追いついた。美咲は隣にいて、肩を上下させて呼吸している。

 電車に乗って二駅。美咲とは、ほとんど会話をしなかった。


 

 駅をでると、お囃子の音が聞こえてくる。駅前の商店街も、祭りにあわせて提灯や屋台をだしている。

 穂香は隼斗の手を離さずに、楽しそうな笑い声をあげた。




 小さな鳥居をくぐると、沢山の屋台が犇めいていた。

 淡い光を放つ屋台。小さな子供がはしゃぎながら俺たちの脇を駆けて行く。


「ボサっとしてると、あぶねぇよ」


「うん、ごめん。浴衣って慣れなくてさ」


 美咲は「ごめん」ともう一度謝った。予想以上にすごい人混みだな。


「隼斗! たこ焼き!」


 さっそく、たこ焼きの屋台を指差して隼斗を呼ぶ。


「わかったよ。ちゃっかりしてんな……買ってくるから、ここで待ってろ。穂香、ナツたちといろよ」





< 25 / 254 >

この作品をシェア

pagetop