…TRIANGLE…

 智香も最近は新しく社会人の彼氏ができて少し落ち着いてきた。

 お母さんと喧嘩する日も少なくなってきて、これでお父さんが帰ってくれば、きっと大丈夫。


「ナツくん、もうちょっとだから……」

「焦らないよ。穂香を手放すつもりないし」

 

 ヒーターの風がナツくんの茶色い前髪を揺らした。


 好きで好きで、たまらない。大好きな人にぴったりと寄り添う幸せな時間。


「もうすぐ卒業だね」

「あっという間だな……。あ、穂香卒業式にはハンカチ三枚持っていけよ。絶対に大号泣するだろ」


「えー? 三枚も? ナツくん、一枚かして」


「中学ん時は、二枚じゃ足りなかっただろ! 俺、ハンカチ持ってねーし。あ、部活のタオルなら貸すけど」


「やだ、汗拭きタオルでしょ!」


 
 あはは、と笑えてる自分がなんか可笑しかった。葵さんみたいに強くは、まだなれないけど、少しは成長してるよね……




< 250 / 254 >

この作品をシェア

pagetop