…TRIANGLE…
智香も最近は新しく社会人の彼氏ができて少し落ち着いてきた。
お母さんと喧嘩する日も少なくなってきて、これでお父さんが帰ってくれば、きっと大丈夫。
「ナツくん、もうちょっとだから……」
「焦らないよ。穂香を手放すつもりないし」
ヒーターの風がナツくんの茶色い前髪を揺らした。
好きで好きで、たまらない。大好きな人にぴったりと寄り添う幸せな時間。
「もうすぐ卒業だね」
「あっという間だな……。あ、穂香卒業式にはハンカチ三枚持っていけよ。絶対に大号泣するだろ」
「えー? 三枚も? ナツくん、一枚かして」
「中学ん時は、二枚じゃ足りなかっただろ! 俺、ハンカチ持ってねーし。あ、部活のタオルなら貸すけど」
「やだ、汗拭きタオルでしょ!」
あはは、と笑えてる自分がなんか可笑しかった。葵さんみたいに強くは、まだなれないけど、少しは成長してるよね……