…TRIANGLE…
────夏休みも、残り半分だ。夜風が少しだけ涼しいと感じられるようになってきた。
「じゃーな。また明日」
「待てよ! 家そっちじゃねーだろ、隼斗!」
「寄り道だよ」
隼斗が片手をひらひらと振った。 ゆっくり自転車を漕ぎながら、綺麗な満月を見上げた。
「変なやつ……」
いつものコンビニの前を通りかかる。アイスでも買っていくかな……あ、でも兄貴に食われたら嫌だしな。今月、小遣いピンチだ。
「あ! ナツくんだ。今、部活帰り?」
素足に大きめのクロックスを履いた穂香が俺に手を振っている。
「よぉ、また隼斗と待ち合わせ?」
「ううん。今日はお買い物」
白いビニール袋を持ち上げると、穂香は首を傾げた。
「隼斗、一緒じゃないの?」
「そこまで一緒だったけど、駅のほうにいった」
「そっか、隼斗今日は用事があるから会えないって言ってたから……」
穂香の笑顔が陰る。嫌な予感がした。いつもの穂香じゃないのに、急に明るく振る舞って話だす。
「ねえ、ナツくん。あれから美咲とはどう? 電話番号交換したって喜んでたよ! 美咲はねぇ……」
「穂香!」
「やだ、ナツくん。恐い顔してどうしたの? あ、いけない。私もう帰らないと……」