…TRIANGLE…
「隼斗、自分がコワいだけだから……」
コワい気持ち、わからなくない。
俺も穂香を抱いて、もし今よりもっと好きになれなかったらと考えるとコワくてたまらない。
穂香は普通の女とは違う特別な存在なのに、手に入れた優越感から別の感情が湧いてきたらどうすればいいんだろうな?
「穂香、大丈夫。焦って悪かった。今日は帰るよ。明日も練習がある」
「……うん。
バスケット頑張ってね! 次いつ試合があるの?」
「二学期入ったら直ぐだよ」
「応援に行くね! 隼斗キャプテンになったんだよねー、すごいなぁ」
ベッドに座る穂香の頭を撫でた。
キャミソールの落ちた肩紐を元に戻して、穂香は恥ずかしそうに笑う。
やっぱり、妹みたいなもんなのか?
自分の頭を過ぎったその考え方にコワくなる。
「見送りいいから、じゃあな……おやすみ」
こんな時は、無性にあの人に会いたくなる。
穂香の家を飛び出して、俺は自転車を走らせる。
浮気なんかじゃない、俺は穂香が好きだ。穂香とマジで付き合っているんだ……