…TRIANGLE…

「ナツくーん!」

「なに?」



 体育館の入り口から俺を呼ぶ声がして、その場で大声で返事すると、相手は、いたよ! と声をあげた。

 そいつは手招きして俺を呼んできた。後ろには何人かの女子を従えてる。

 また邪魔が入った。面白くない……

 夏休みが終われば、すぐにインターハイ地区予選がはじまる俺たちにとって練習中に呼び出されるほどウザいことはない。今日は顧問もいないし余計に邪魔が入るんだ。

「またかよ! ナツ。愛の告白タイム?」とチームメートに茶化されながらボールを隼斗に投げつけた。


「俺にあたるなよ! モテ男」

「うるせー」


 渋々、呼ばれた方に走ると「本当に来てくれた!」と悲鳴があがる。女が四人。なんで、女って基本団体行動が好きなんだろうな。

「来なくてよかったのかよ? なら、呼ぶな」

 最高に不機嫌に答えても、ニヤニヤ笑いながら嬉しそうな顔をした。


「ううん、B組の子がナツくん来てくれなかったって泣かされたって聞いたから。でも今日はその子関係なくて、あの子がナツくんに話があるって」


 あの子とかその子とか、何だかよくわからない。体育館の扉の向こうに、顔を真っ赤にしてうつ向いてる女子が一人いる。


< 5 / 254 >

この作品をシェア

pagetop