…TRIANGLE…


 でも、なんでだろう。一年も付き合っていて、穂香は何か俺を不安にさせる材料を持っている。



「美咲ね、今日ナツくんに会えるのが楽しみで昨日眠れなかったんだってさ。ナツくんには内緒だよ? でも、言ってもナツくんは理解できないかもしれないけどね。

 私が電話した時も寝てたみたいで、すごい機嫌悪かったんだよー」



「俺が迎え行った時も寝てた」


「あはは、じゃあ一日中寝てたんだね! ナツくんのママが、あの子は小さい頃から起こさないと起きない。ってよく言ってるもんね? 隼斗」


「そうだな……」


 穂香は首を傾げて、ニコリと微笑んだ。俺も穂香に微笑み返す。


 握った細い指を離さないように強く握り締めた。




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