…TRIANGLE…


 ダブルデートで夏祭りをそれなりに満喫して、暗い夜道を四人で帰る。

 お囃子の音が耳の奥に残っていて、それなりに楽しかった。


 美咲ちゃんには悪いけど、ナツを落とすのは無理そうだな……なんて思った。



「じゃ、今日はここで解散しようか。隼斗、私は美咲と帰るから」


「おう、わかった。遅いから気をつけろよ。何かあったらすぐ電話しろよ」


「うん、大丈夫だよ。明るい道で帰るから」


 コンビニ前で手を振り皆と別れる。



「はあ……」


 そのため息の正体がなんなのかなんて分からない。


 分からないけど、足は自然と駅の方に向いていた。


「隼斗、帰らねーの?」


「ああ、忘れ物だよ」


「そっか、じゃーな」


 ナツに嘘をついたのは、生まれて初めてかもしれない。



 
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