…TRIANGLE…


 彼女のマンションの前まで来て、ようやく後悔した。



「何をやってんだよ、俺」



 休日の夜。もし彼女に付き合ってる男がいたら、ちょうどそういう最中かもしれない。

 そもそも、人の部屋に訪ねていくには非常識すぎる時間だ。



 帰った方がいい。それなのに、足はオートロックの扉の前にいた。


 部屋の番号は覚えている。


 部屋番号を押してインターホンを押す。



「……はい」


 迷惑そうな彼女の声がした。


「あの、俺……この前の雨の日携帯貸した者ですけど……」



 なんて名乗り方したんだろう。最悪だ。不信人物に確定だな。




「何の用……?」

「あ、会いたくて……」



 ストーカーかよ!


 ヤバい、ヤバい。なんて言い訳しよう……嫌われたよな。絶対、ヤバい男だって思われた。




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