…TRIANGLE…
「ナツ……おまえ、さいてー」
隼斗が呆れたように俺の肩に腕を回した。告白してくれた子は、顔を真っ赤にさせて走り去る。
あーあ、あれで泣いたら俺のせいになるんだろうな。
で、後で女子の集団に囲まれて、酷い、とか、可哀相、とかボロクソ言われる俺のほうが泣きたいよ。
「彼女つくって、楽しい夏休み過ごしてみたらどーよ」
「いらねーよ。彼女なんて! 俺たち練習で忙しいだろ。インターハイも近いし、いくら練習しても足りないくらいだって言ったの隼斗だろ!
あ、でもさ一回くらいは海でも行くかな、な? 隼斗。夏休みだし」
隼斗はわざとらしくため息を吐いた。
「なんで俺がオマエと海に行かなきゃいけねーんだよ! ガキじゃあるまいし、男二人で海? しらけるだろ!」
「違う、穂香と三人でだろ」
昔からよく海水浴に行ったもんなぁ……三人で。電車で穂香を真ん中にして並んで座ると、穂香のカバンの中からお菓子が次々に出てくるんだ。
砂浜にシートを敷くのは隼斗の担当で、俺はその間にジュースを買ってくる担当だ。
ナツが一番楽してる! て隼斗が怒って穂香が笑う。
「残念なお知らせです……オマエはお留守番」
「は?」
「今年は穂香と二人で海を楽しむ。穂香のビキニは俺のもの。ま、ナツも彼女作れよ。せっかく顔だけは整って産まれてきたんだから」
うわっ ムカつく! 俺お留守番?
「彼女なんかいらねーよ! び、ビキニってエロ! 穂香のビキニなんてなんとも思わねーよ!」