…TRIANGLE…


「常備薬とかは?」


「ない」

 
 買ってくるか。まだ駅前のドラッグストアは開いてる時間だ。


「家族とか彼氏とか……面倒みてくれる人は?」


「いないよ……」


 彼女は潤んだ瞳を閉じて、俺から顔を背けた。それが大人の女の、精一杯の強がりに見えた。


「じゃあ、薬とか食べるものとか買ってきます。ちゃんと寝てて下さいよ」

 彼女はゴロンと仰向けで寝ると 「ありがと……」と小さく言った。


 辛い時に辛いって言えないのが可哀想だと思う。



「鍵と財布そこにあるから持っていってね……」


「わかりました。そうだ、何か食べたいものありますか?」


「ケーキ」


「ケーキ? 風邪ひいてる時はお粥とかうどんとかの方がよくないですか?」


「イチゴがのってるやつ……」


 熱っぽい顔で弱々しいわりにワガママ言う。俺は素直にそれを聞き入れた。


「わかりました」





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