…TRIANGLE…

「電話? なんでわかったの?」


「キーケースに番号書いてありました。後で登録してもいいですか?」

「名前はなんて登録するの? 知らないくせに」


「名前を教えてくれないワガママで素直じゃないお姉さん、って登録しときます。嫌だったら、名前教えてくださいね」


「長いね……ふふっ」


 彼女が笑った。


「私は、浮気性のバカみたいに親切なただの高校生 って登録しとこうかな? ね、そこのメモ帳に連絡先書いておいて……今度、風邪がなおったら絶対お礼するから」



 バカって、その通りだな。

 熱い手が俺の頬をなぞった。背筋がゾクリとして、全身鳥肌が立つ。


 なんだろう……この感情。心配で一晩中付き添ってあげたくなる。



「書いておきます……お大事に」


 
 彼女の熱い手が離れた。心にデカい穴が空けられた。




 

< 73 / 254 >

この作品をシェア

pagetop