…TRIANGLE…

 冷えてジンジンするのが、ちょっと治まった両手。

 二人きりの部室……


 自然と目が合う…………



「よぉ! ナツ。あれ? 穂香なにしてんの?」


 陽気な声がしたと思って振り替えると、隼斗くんが部屋に入ってきた。

 高校生になっても、二人はバスケ部に入った。中学から続けているから、二人ともバスケがうまくて、五人しかなれないレギュラーに一年生ではいってる。



「隼斗、穂香が手に怪我したんだよ」


「怪我? だ、大丈夫なのかよ!」


 隼斗くんはナツくんを突き飛ばして私の目の前に座る。


「いてぇーよ隼斗! 俺が怪我すんだろ! 馬鹿」


「本当だ……腫れてる……」


「大丈夫、大丈夫。今ね、ナツくんにスプレーしてもらったから」


「なんでこんな事になった?」

 真剣な眼差しに、言葉が出てこなくなる。



「倉庫のドアにぶつけたんだよ。大した怪我じゃねーよ。穂香、俺たち練習あるからもう帰れよ」


 納得できない顔した隼斗くん。


「そ、そうだね。帰るね……また明日」






< 79 / 254 >

この作品をシェア

pagetop