…TRIANGLE…
ナツくんに触られた手が自分の意識とは無関係に何か特別な物体に変化してしまうような錯覚にとらわれる。
酷いところ見せちゃったのに……
ナツくんの、あのぶっきらぼうな言葉は優しいからだとか
ナツくんが、私を助けに来てくれたのは私を気にして見ててくれたからだとか
ただの片想いにしては、どこまでも自分よがりな身勝手で痛い想像して浮かれては落ち込み、それだけで時間は過ぎて行く。
いつも長い帰り道はあっという間だった。
友達と同じ人を好きになるなんて……美咲はせっかく出来た友だちなのに……
美咲に、私もナツくんが好きだったと先に言えばよかった。
先に打ち明けてくれたのは美咲の方だ。後からそんなこと言っても、卑怯者みたいに思われるかもしれない。
どうしよう……いっそナツくんを諦められれば楽になる。そんなこと簡単にできることじゃない。
それもよくわかっていた。