…TRIANGLE…


─────「穂香、最近ナツくんとあまり話さないね?」


「そうかな? 元々こんな感じだよ」


 売店の自販機で紙パックのジュースを買った。それを飲みながら、美咲と肩を並べる。




「穂香! 今帰り? 俺も一緒に帰っていーか?」


「隼斗! 美咲もいるし……」


「私はいいよ。それより、私が邪魔じゃない?」 


「そんなことないよ!」



 私は慌てて否定する。私たちを冷やかすような顔をした美咲。何を考えたかすぐにわかった。


「そういえば今日部活じゃなかったっけ?」



「ああ、ナツが脱臼して顧問と病院行ったから、休みになった。これナツの鞄。家まで持ってけってさ、めんどくせーな」


「ナツくん脱臼したの? うそ、大丈夫?」


 つい大きい声で叫んだ。廊下の向こう側から、何? 何? と声がした。


「大丈夫じゃん、多分。昨日の対抗戦で観客席に突っ込んだ時から、痛そうにしてたんだよな。そのくせ練習に来るから、無理やり病院送りにしたんだよ」


 うわ……ナツくんの悪い癖だ。痛いのとか辛いのにも鈍感だから、我慢しちゃったんだと思う。



「穂香、心配だね。幼なじみなんだもん、お見舞い行ってあげなよ。私は帰るからさ」


「美咲……ごめん」


 美咲は、ううんバイバイ、と手を振った。
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