…TRIANGLE…


 優しいナツくんのお母さんが、また来てね、と手を振ってくれた。

 小さい頃から憧れていた。私もいつかナツくんのお母さんみたいになりたいって思ってた。


 会釈して、夕暮れの道を隼斗と歩く。


「穂香、今からウチに遊びに来るか? ねーちゃんがDVD借りてきてて、返却する前に観たいんだけど、穂香も一緒にみようぜ。シャーロック・ホームズの新作」


「うそ! 観たい! 私も借りようと思ってたんだ!」


「だろ? 来いよ」


「うん。でも、残念だなーナツくんも観たがってたのに……」


 隼斗が一瞬眉をしかめた。だけど、すぐ笑顔になる。


「怪我して俺たちを心配させた罰だ。アイツのプレーは巧いけど、たまに無茶があるんだよ。点とりに行くのに必死で、周りが見えなくなる。

 俺、何回も注意してるんだぜ?」


「あはは、隼斗くんていつもそういうお兄さん的役割だよね?」


「ナツは同じ年とは思えないからな、ははは」


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