メイド in Trouble!!!
なんのことかよくわからないけど、とりあえず葉流さんの言う通りにしよう。

葉流さんって、何考えてるかぜんっぜんわかんないけど、少なくとも、神宮寺家では一番常識人ぽいし、何かとよくしてくれてるし。

片付けを終えて、ようやく部屋に戻ろうと思ったときだった。

「……あ」

部屋の扉の前には、援交美少年。
じゃなくて、悠宇くん。

「おつかれさま、家政婦さん」

「あー、どうも、お疲れっす!」

年下の男の子に向かって、体育会系な敬語をつかう、チキンなあたし。情けないか?でも怖いんだよ!

「…そんな怯えなくてもいいって」

女の子みたいにキレイな顔を少しだけ綻ばせ、くすくす笑う悠宇くん。

「家政婦さんさえ黙ってくれれば、怖いことなんかしないからさ」

「いや、あたしは元々誰にも言うつもりないし……」

「そう、ならよかった」

「でも、よくないと思うなー。援助交際とか。辞めた方がいいと思うなー」

さりげなく反撃してみたり。

だって、万が一、亮二が同じことしてたら、あたしは亮二を殴ってでも辞めさせると思うもん。

悠宇くんがなんで援交なんかやってるか、わからないけどさ。絶対よくないよ、こんなこと。

「家政婦さんには、関係ないよね?」

「……そうですねー」

反撃終了。やっぱ無理でした。ごめん。

「でもさ」

「ん?」

悠宇くんの顔が少しずつ近づいてくる。
あたしより、少しだけ背の高い、きれいな顔が、あたしの鼻先すれすれまで近づく。

「家政婦さんが」

「え、」

悠宇くんの手が、すっと太ももをなぞる。ぎくり、として、鳥肌が立つ。

「埋めてくれるなら、辞めてもいいよ?」

「う、う、埋めるって、何、を?」

恐怖と驚きで、うまく言葉が出てこない。

「僕のカラダ」

「ひっ……!!」


「…ははっ、冗談だよ。マジで怯えちゃって、可愛い」

悠宇くんは、余裕たっぷりにからからと笑う。
こ、こっちは冗談じゃないぞ!本気で怖かったぞ!

「まあ、処女の家政婦さんじゃ、僕が満足できるとは思えないけどね」

「しょ、処女て……」

何故わかったし。小僧っこに見破られるなんて…くやしい!お姉さん悔しいわ!

「これからもよろしくね?……メ・イ・コさん」

―――バタン。

妖しい笑みを浮かべると、悠宇くんは自分の部屋へと入っていった。
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