メイド in Trouble!!!
悠宇くんの部屋の扉が閉まるのを見て、廊下にへたり込む。本気で、ビビった…。

「おまえ、やっぱり処女か」

「ひっ!!」

いきなり後ろから声をかけられて、2センチほど飛び上がるあたし。

勢いよく後ろを振り向くと、お風呂上がりの玲央さまが、パンツ一丁で、バスタオルを頭からかぶって突っ立っていた。

「い、いまの、聞いてた?」

「うん」

げ、マジで。ヤバいよ…「あのこと」がバレたら悠宇くんに殺されちゃうじゃん…

「えー…どのへんから?」

「悠宇がお前の股ぐらまさぐってるあたりから」

股ぐら、って。王子のくせになんて事言いやがる。

でもギリギリセーフ。肝心のところは聞かれてないみたい。あたしはほっと胸を撫で下ろす。

「しっかし、悠宇も亜紀も趣味ワリーな。お前みたいなちんくしゃにちょっかい出すなんてな」

ち、ちんくしゃて…どんだけあたしを罵れば気が済むの、この人。

「ちんくしゃで悪ぅございましたね!!」

そう言って、その場を立ち去ろうとしたんだけど。

「……あれ?」

…立てない。足に力が入らない。な、なんで?

「なにやってんの、お前」

訝しげにあたしを見下ろす玲央さま。

「んーと、なんか…腰が…ぬけた、みたい」

「ぎゃーーははははははははは!!ちょーマヌケ!悠宇におちょくられて本気でビビってやんの」

あたしを指さして、大声で笑う玲央さま。終いには、笑いすぎて涙すらでている。

「う、うるさいっ!黙れ!笑うなよ!!」

「ほれ、ほれ」

玲央さまは、へたり込むあたしを容赦なくつま先でつついてくる。なんとか必死に立とうとするけど、あたしの足は言う事を聞かず、へたっと地面に這いつくばるのみ。

く…くそー。なんという屈辱…。

「しゃーねーな」

そう言うと、玲央さまはあたしの体をひょいと持ち上げて、抱きかかえた。

「うわっ……?!ちょっと!何する気!」

「バカ、暴れんな。落とすぞ」

手足をばたばたさせて抵抗するが、そんなことものともせず、玲央さまはあたしの部屋のドアを開け、部屋に上がり込む。

あたしを抱えたまま、ベッドの方へ歩みを進める玲央さま。

……一体、どういうつもり?

「え、ちょっと…待って…!!」

「うるせーな、少しは黙っとけ」

そう一喝すると、あたしはベッドに放り投げられた。
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