メイド in Trouble!!!
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『キーンコーンカーンコーン…』

ようやく一日の授業の終わりを告げる鐘が鳴る。

なんだかすごく疲れた。神宮寺家とはいえど、やっとお家に帰れるんだ。あたしはなんだか、それだけでとっても幸せな気分だった。

帰りに夕飯の買い物して、先にお風呂の掃除して、夕飯を作って。今日は何にしようかな。たしかナスが余ってたから…そんなことを思って教室を出ようとした瞬間だった。

「ちょっとアナタ。顔貸してくれる?」

あたしはいきなり、女の子の集団に囲まれた。



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「えーと、何の用でしょうか?」

あたしが連れてこられたのは、体育館の裏。壁を背に、大勢の女の子に囲まれ、睨まれている。

なんというか…ベタなシチュエーションですよね。お母さんが持ってた昔のまんがに、こういうシーン、あったなー。

「何の用、じゃないわよ。アンタ、玲央様とどういう関係?」

あー、やっぱり。なんか見た事ある子たちだと思ったら、お昼休みのあの禍々しい集団ですか。

「どういう、って言われても…」

単刀直入に言うと、王子様と召使い?…だと思うけど、そんな事言ったらさらに誤解を招くような気がするし。

万が一、一緒に住んでる、とかいう話になったら、さらにややこしいことになるし。どうしたらいいんだろう。玲央様と何かあると思われるの、すごいめんどくさいんですけど!!!

「どういう関係か、って聞いてんだけど?」

「いきなり玲央様に近づいてきて、慣れ慣れしすぎるとは思わない?」

「まさか、付き合ってるつもり?」

「ブスのくせに、勘違いしてんじゃねーよ」

ああー。完全な言いがかりだと思いますよ、お嬢さん方。あたしは玲央様に、これっぽっちも興味はないんですけど。

てか、初対面でブスとは失礼な。玲央様が玲央様なら、お取り巻きもお取り巻きだわ。

「あたしと玲央様は、特にあなたたちの思うような関係じゃないから。忙しいから、帰るね」

あたしはそう言って、その場を去ろうとしたのだけど…

「待てよ!おめー。ウゼーんだよ!!」

「いっ…た!!」

ショートカットの女の子に、髪の毛を…思いっきり引っ張られた。

何すんだ、こいつ。

あたしが思いっきり相手の女の子を睨んだ、そのときだった。

「あ?ペチャ子?オメー何してんの?」

間抜けな声が、体育館裏に響いた。
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