猫とボク。
―第一章―ハタチになった日
 ボクは昔から、朝起きたら特殊な力が備わっていました、という摩訶不思議なシチュエーションに憧れていた。

 ある日魔法使いになるとか。
 超能力が備わるとか。
 あ、闇の組織に狙われる身だとか、特殊戦闘技能が身につく、とかもあったな。
 
 でもそんなお話の主人公たちは大抵が十代の子どもたち。
 なのにボクはもう、二十歳になってしまった。
 今、時計の針がちょうど0時を指したんだよね。
「ダメだ、やっぱり特殊能力なんて、備わるわけがないよね」
 そう、ぽつん、と呟いて、ボクはベッドに潜りこんだ。
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