猫とボク。
 『気になること』を、きちんと解決しておかなかったことを、ボクはとても、とても、後悔した。

 寝ていたら、何かがボクのほっぺたをひたひたと叩くのに気がついた。
「にゃぁん……」
 耳元で、タマの声がする。
「……う?」
 片目をあけたら、目の前にタマの白い顔がある。
 今何時だろうと、ケータイを見て……真夜中。
「アゲハ、アゲハ……起きて……」
「なぁに、タマ……」
「トイレ行きたい。起きて!」
 何!?
「何だって!?」
「トイレ! おれ、一人じゃここから出られないの」

 ボクはがばっと飛び起きると、すぐさま自室のドアを開けてやった。
 ここでトイレをされちゃ、たまらない!
 しなやかな体が小走りにリビングへ向かうのを見送ってすぐベッドへ潜り込んだボクは、すぐさま眠りに落ちた。
「タマ……今度はイイコで寝てくれよ……」
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