猫とボク。
 そんなボクの願いは聞き届けられることなく。
「……アゲハ、アゲハ」

――ふにっ、ふにっ。

 あ、肉球の感触だ、気持ち良い~……。
「アゲハってばぁ……」

――ガリッ

 「ぎゃっ」
「あ、ごめん、つい爪がでちゃった……」
 ヒリヒリする鼻を押さえたボクは、顔の横にいるタマを見た。
 うわぁ、明らかに嬉しそうな顔してやがる!
 グルグルと喉まで鳴らしちゃって!
「……今度はなに?」
「お腹すいた~」

 ……おやすみ。
「あ、ひどい、寝るなんて!」
 がばっと頭からタオルケットを被って、拒否の意思表示。
 こうすれば諦めてくれ……なかった!
「起きろ、起きろー!」
 にゃあにゃあ鳴きながら、がばっと飛びかかってきた。
 飛びかかっては離れ、離れては飛びかかる。
「起きて、起きろーっ」

――フシャーッ!

 「あだだだだ、背中に爪立てるなーっ!」
「お~な~か~す~い~た~!」
 うう……ボクの負けです。
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