猫とボク。
 ジャーン、とけたたましく鳴っているのは、ボクの枕元にある目覚まし時計。
 コレ、実は。
 ジイちゃんが学生時代に下宿先で使っていた目覚まし時計。
 ジイちゃん、父さん、そしてボクが使っているこれは、家中に響き渡って有能だ。
「アゲハ、目覚ましうるさい!」
 足元の壁がドガッと蹴られて、隣室から妹・タテハの怒声が飛んでくる。
 タテハを怒らせると恐いから、ボクはタオルケットを被ったまま手を伸ばして目覚ましを止めた。
「もう少しー……」

 その時。
 ボクの部屋のドアがカタンと音を立てた。
「母さん、今日は2限休講……」
「けっ、寝ぼけてんじゃねぇや」
 ん?
 誰だ、この声。
「起きろ!」
 だ、だだだ、誰?
 誰かがボクのベッドに上がってきたっ、わあっ、何、何、誰……!

――ぷにっ

「……へ?」
「起きろ、起きろってば、アゲハ」

――ふにふにっ、ぺたぺた、すりりっ……

 ボクは勢いよく目を開けた。
 目の前には、見慣れた白い顔がバーン、とあった。
「タマ!」
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