猫とボク。
それから
 翌朝。
 目が覚めたら不思議な力がなくなってやしないかとビクビクしていたボクだけど。
 そんな心配はまったく無用でした。
 朝も早くからタマにかなり荒々しく起こされ。
 眠い目を擦りつつ、朝食の用意。
 ついでに、家族の分まで用意すれば、母さんに大感謝されました。

 だって。
 いくらなんでも、猫の世話だけせっせとしてたら、それはなんだか変でしょ。

 「人間ってややこしいね」
 タマがそうぼそっと呟いたのに、ボクはどう返事したものか、悩んでしまった。

 そう、タマはおしゃべりだけど、何を考えているのかはあまり言ってくれない。
 首を傾げて外を見ているときとか、じっと部屋の隅からボクらを見てるときとか。
「何を考えてる?」
「ん? 何も?」

 前足を伸ばして、ボクのほっぺに触る。
 どうやらこれは、タマお気に入りのポーズらしい。
< 20 / 60 >

この作品をシェア

pagetop