猫とボク。
―第二章―季節は過ぎて
 夏が過ぎて、秋が来た。
 食欲の秋。睡眠の秋。
 人間も、タマも、始終ご機嫌。

 そんな中、ここで一つ解ったことがある。
「え、秋生まれ?」
「おう。ちょうど去年の今頃だったぜ。沢山の兄弟姉妹と一緒に生まれたが、白いのはオレと姉上だけだったな」
「へぇ、その兄弟たちは?」
「みんな、もらわれていったぞ。日本全国にな」
 じゃあ、なんでタマは野良猫してたんだろ?
「あ、捨てられたとか?」
「まさか。オレね、貰われた先の家が気に喰わなくて、出てきたの」
 えぇ……。
「生後半年ともなれば、立派な大人さ」
 それはどうだろう……。

 「でも、きっと、その最初の飼い主さん、タマのこと探してるよ?」
「いや、気にすんな。こないだ見に行ったら、別の猫、飼ってたからよ」
「え、そんな調子でいいの!?」
「いいんだよ!」
 タマは、びしっとボクの目の前に前足を突き出した。
「猫だって、家や飼い主を選ぶんだぜ」
 あーそっか。
 ボクは妙に納得してしまった。
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