猫とボク。
春が来た!?
 最近、ボクんちのタマは窓辺の日溜まりでじっとしていることが増えた。
「タマ、どうしたの」
「うふ、春の匂いがしてきたね」
「へ? なにそれ!」
「アゲハにも、もうすぐわかるようになるよ」
 そんなもんかな?
「くふふっ、そうだよ」
 ひゅんひゅん、長い尻尾が揺れる。
 実にご機嫌だ。
「にゃ~ん」
「はいはい」

 あ、タマは人語を話しているわけではなくて。
 ボクが、タマの言葉を理解してるんだ。
 この不思議な力は、忘れもしない、二十歳の誕生日プレゼント。
 誰からって……タマいわく、猫の神様から、なんだって。

 それからおよそ半年が経つけれど。
 まだまだボクは、タマに驚かされてばっかりです……。
< 31 / 60 >

この作品をシェア

pagetop