猫とボク。
 例えば。
「にゃっ、アゲハ!」
「ん、何?」
「おれ、お庭行きたい」
「どうぞ」
 何をするのかと思えば。
 ばばっと庭の土を掘り返し。
 そこへちょこん、と座った。
 尻尾がピーン、と立っていて、小刻みに震えているのが見える。
 
 「タマちゃん! そこでおトイレしちゃ嫌よー……」
 母さんが悲鳴をあげてすっ飛んできた。
「ああ、もう。足が土だらけ……」
「うにゃ……(ごめんなさい)」
「アゲハ、お風呂でタマちゃんの足、洗ってきて……」
「はーい」
 
 タマをしっかり抱きかかえてバスルームに向かいながら、ボクは疑問を口にしてみた。
「そこに猫トイレがあるのになんでわざわざ庭でしたのさ……」
 目を丸くして首を傾げるボクに、タマが言った。
「三丁目のハチゴロウが、さっき、あそこでトイレしやがった! おれのお庭なのに! 許さないんだからぁっ!」


 
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