猫とボク。
 ボクとタマは、それから暇さえあれば庭に出てみた。
 目的はもちろん、ハチゴロウとやらの撃退だ。
 
 ぽかぽかとお日様が降り注ぐ庭で、ボクはタマを湯たんぽ代わりに膝に乗せて、うつらうつら。
 けど、タマは首をあっちへふったりこっちへふったり、忙しい。
 そのたびに、耳やヒゲがボクのほっぺたを撫でていく。
 ふいに、タマが前足でボクの鼻をぶにっと押さえた。
「アゲハっ、来たよ、ハチゴロウ!」
「ふぇ?」
「ほら、そこ!」
 ……どこ?
「だから、そこだってば! フシャーッ!」
「いだだだだ」
 慌ててボクは、タマを膝から下した。
 人の膝の上で、威嚇するのはどうかと思うよタマ!

 しかし……。
 尻尾も背中の毛も、全て逆立てちゃって、まぁ、なんと猫らしい。
 
 けど、そのハチゴロウの姿は、ボクの目には見えないんだけどな。
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