猫とボク。
 いやはや、一体全体何を血迷ったか、この猫は!
「た、タマ?」
「ステファンたるもの、弱いもの苛めなんざ、しねぇんだよっ!」
「は、はあ……」
「いいかっ」
 おやおや、尻尾がピンと立って気合い十分だね。
 このまま謝罪でもするのかと思いきや。
「アレはオレの愛情表現だーっ」

 ねえ、タマ。
 それは無理があると思うよ。

 現に、ジジだって困って……あれ?
「タマさん」
 ……え、困ってない?
「ジジはもう、タマさんのお庭を荒らしたりは、しません」
「ジジ……」
「ごめんなさい」
 にあ~ん、と鳴いて見つめあう二匹。
 なんだか、心が通じ合ったみたい。

 さっきまでお互いにフシャ―って逆毛をたてて、威嚇しあってたのに……。
 なんなのさ、この展開は……。
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