猫とボク。
 「ええええええー!?」
 当然ボクも吃驚、猫も吃驚。
「タマカノ、早く下りてらっしゃい!」
「にやっ……(タテハさん!?)」
「にゃ、じゃないわよ! アンタのこと、うちのタマが待ってんのよ」
 早くしなさい、と説教とも説得ともつかないことをするタテハ。
 ついには腕を伸ばし、ジジの体をむぎゅっと掴んだ。
「さっ、いらっしゃい」
「にゃあー(きゃあっ!)」
 暴れるジジと、それを捕らえようと必死のタテハ。
 藤棚が、ギシギシと揺れる。
「タテハっ、危ないからっ」
 更に上へ登ろうとするタテハの体にしがみ付いて、なんとか引っ張り下ろしたその腕の中には。
 目を真ん円に見開いた、ジジがいました。

 「タテハ、偉いっ!」
「へへっ、この子が軽くて小さくて助かったぁ~」

 すっかり大人しくなったジジを抱っこして。
 ボクとタテハは、土手へと急ぐ。
 念のため、ジジの首にも首輪を巻いておく。
「はい、タマとおそろいの首輪よ」
 黒い体にオレンジの首輪も、なかなか可愛い。
「にあ……(ありがとうございます)」

 「アゲハ、これが実はノミ取り首輪ってことは、内緒よ」
 当然です!
< 53 / 60 >

この作品をシェア

pagetop