猫とボク。
 逆にタマは母さんが大好き。
 母さんに呼ばれると大好物の貝柱さえ放り出して飛んでいくくらいだから。
 そんな時は、ジジが一人ボクの部屋の角でイジケてたりする。
「ジジ?」
「どうせママにはかなわないですよーだ……」
 壁に向かってぶつぶつ言ってると思ったら。

―フカカカカーッ

 背中持ち上げて、ピョンピョン跳ねはじめて、ボクびっくり。
 そのままどうするのかと思ったら。

 「うわーっ!」
 ベッドからちょろりとはみ出していたボクの毛布に飛びかかっていった。
 前足でしっかり毛布を押さえて、後足で連続蹴りを繰り出して。
「タマさんのばかぁっ!」
 そう叫びつつ毛布に噛みつくものだから。

 五分も経たないうちに。
 ボクの毛布、ボロボロになっちゃった……。
 お気に入りだったのにな。
< 58 / 60 >

この作品をシェア

pagetop