あしたの。



【熊井 涼 サイド】



いててて…。

調子いいからって
スライディングするもんじゃねえ…

捻挫とかじゃねえよな…?



「いてーよおっ!」



独り言とか、引くよなーははっ


あれ?

保健室にいるのって…あの子

もしかして…!



俺は知っていた。あの子を。



武瀬 海月(ムゼ ミツキ)。
C組のクラス委員で陸上部の子。
元気で明るくて、活発な子。
なのに人が嫌がる雑用を
こなしてくれている子。

だから信頼度はばっちりで。

男子に人気のある子で…
俺も実はだったりしちゃったり



「ちーっす!怪我しちゃいましたー!」



緊張を隠すように

元気一杯に声を出す俺。


恥ずかしい、痛い。



「…っ!?」



あれ、目が赤いっていうか…。

腫れてる?泣いた?


こういう時、
“鈍感がよかった”なんて思う。


できるだけ武瀬さんを
気にしないようにしたかった。


でも、やっぱり心配だよ……。
事情が聞きたい、でも…


そんな気持ちとは裏腹に、
気づかない振りを決め込む。



「スライディングしたらー…」

「これ書いといて」



武瀬さん、まだ制服だし…

今日は部活行かないのかな?
あんなに頑張ってるのに?





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