本当にずるいよ。
──あの夏の日。
ライブっていっても
所詮中学生。
近所の商店街の一角に
ある特設ステージで
そのライブは行われた。
夏休みって事で暇だったし
4時からだっていうから
早起きする必要もない。
だからあたしは友達の
咲の誘いに乗っていた
熱いしライブだから、
普段は割りと可愛らしい
服が好きなあたしだけど
白いロゴTに、ちょっと
ハサミを入れて肩を露出
させるように加工をして
中に着た黒いキャミソールを
見せて本当に短いデニムの
ショートパンツを履いて赤いヒール
汗をかいて崩れると思った
からメイクはしないで髪だけ
しっかり巻いて気合いを
入れてライブに出掛けた。
だけど、いざ行ってみたら
開場は本っ当に暑くて、
ライブどころじゃなかった
狭い会場にそれぞれの
バンドが呼んだであろう
友達。夏だからただでさえ
暑いのに皆の熱気で会場は
凄いことになっていた。
あたしは耐えきれずに
咲にジュース買ってくる
とだけ言い残して会場の
外に出た。