君は僕を好きになる。
日誌を書いている平岡さんに問いかけるとまた目が合った。
今日初めて喋った彼女とよく目が合うな。
意識してるからそう思うのか、それとも無意識だからそう思うのかわからないけど。
「高城くんが良かったの」
また無表情で言う平岡さんは何を考えているのか、本当にわからない。
どうして僕が良かったのかも、その言葉の意味も。
「高城くん」
「…………」
「君は、私を好きになるよ」
こう宣言した彼女は、一瞬だけ微笑みを見せて立ち上がった。
好きになる?
僕が、平岡さんを?
何を根拠に自信満々に言えるのだろう。
話したことなかったんだ。
今日初めて君と話した。
高嶺の華の君は、こんな地味男の僕のどこをみて、君を好きになると言えるのだろう。