君は僕を好きになる。


昨日、僕に言ったあの言葉は何だったんだと思うほど、ネガティブな発言だったと思う。

恋に不器用な人が、あんな堂々と言えるだろうか。



「『君は私を好きになる』」

「.…!」

「昨日、私が言ったことだよ。覚えてる?」


小さくうなづくと、平岡さんは「良かった」と安心したように笑って立ち上がった。


「恋に不器用な私が言うのも何だと思うけど」


鞄に筆記用具をしまいながら、帰る支度をする平岡さん。

綺麗で美人で、恋人もいそうに見える彼女のどこが不器用といえる?

容姿からじゃ何にもわからない。
それが人間だけれど。



「私が不器用なら、高城くんは鈍感だよね」



え?


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