君は僕を好きになる。
想いのその先に
「高城くん」
金曜日、まだ放課後でもない2時間目の授業終わりに平岡さんが声をかけてきた。
ただそれだけで周りのクラスメイトが少しざわつきはじめる。
「ちょっと手伝ってほしいんだけど」
「どこ行くの?」
「社会科資料室」
立ち上がって一緒に教室を出ると、また一段とざわついた教室に少し呆れた。
別に平岡さんは普通に話しかけてきただけじゃないか。
そんな驚くほど珍しくもないよ。
皆平岡さんの良さを知らないから物珍しくみるんだ。
「気にしなくていいよ」
「えっ」
「私のこと言われてるの気にしてたみたいだから」
それはそうなんだけど…。
わかるほど顔に出てた?
「でも」
資料室に着いて中に入った瞬間、平岡さんはまた僕の心臓を鷲掴んだ。
「気にしてくれて、ありがとう。嬉しかったよ」