君は僕を好きになる。


「お、噂をすれば本人のご登場だ」


そう言った担任が目を向けた先には話題になっていた平岡さんが僕たちのほうに歩いて来た。


思わず強張る。

妙な不安と、緊張が僕を襲う。



「平岡、お前も自分から頼め」

「本当に課題やらないのチャラにしてくれる?」

「ああ、もちろん。お前がしっかり一週間サボらず日直をするのならだけど」


担任と平岡さんに挟まれて居心地が悪い。


チラッと平岡さんを盗み見た。


平岡 茉美(ひらおか まみ)

こんなに近くでみたのは初めてで、やっぱり皆が目を奪われるほど美人な人。


漆黒のクリクリした瞳とか、その長いまつげとか。胸下まで伸びたパーマの当てられた茶金の髪とか。


スタイル抜群の彼女は、僕とは次元が違う気すらしてきた。



どうして僕を選んだんだろう。

平岡さん本人を目の前にしたらこの疑問が大きく膨らんだ。



クルッと振り向いた彼女と、バッチリ目が合う。


初めて、君と目をみて向き合ったとき。
初めて、君と話したね。


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