君は僕を好きになる。
「……平岡です」
「あ、はい」
「お願いが、あるの」
無表情でゆっくり話す平岡さんに僕は思いもよらなかった展開でどうしてかドキドキした。
「一緒に日直をやってほしいです」
漆黒の瞳は僕を捉えて離さなかった。
僕も反らせなかった。
あんなに嫌だった日直を、君とやることに抵抗を感じた日直を、いざ君に頼まれると断るに断れなかった。
「…交渉成立だな」
呟いた担任に、目を向けるとよろしくなとだけ言って日誌を渡してきた。
「今日は放課後にプリントを留めるのを手伝って。帰る前に日誌を書いて提出してな。あとは一週間、授業終わりの黒板消したり俺が雑用頼んだらやってくれりゃいいから」
「…めんど」
「チャラにしてやるんだ。これくらいやれ」
「はいはい」
「んじゃ、高城。あとは任せた」
おい、待て、こら。
任せた、じゃないよ。