としサバ
 雫は黒板の前にいた。

 保を見た。

 一瞬、目がしっかりと合った。


 雫は保に目で合図を送る。
 保はこっくりと頷いた。


 雫は携帯で落書きを写真に撮った。


 「ピョロロロン」

 「ピョロロロン」


 シャッターの切れる音がした。


 「ピョロロロン」


 雫は角度を変えて、写真を何度も撮った。


 葵は雫が落書きを写真に撮るのを見て、腰を抜かすほど驚いた。


 思わず、みちるとリンに視線を送った。
 二人も呆然としている。


 3人は代わる代わる互いに見詰め合って、ただおろおろしていた。



 
< 104 / 285 >

この作品をシェア

pagetop