としサバ
 保は雫と目が合った時、こっくりと頷いた。そして、皆に分からないようにして、デジカメで落書きを撮影した。


 「カシャッ」


 シャッターの切れる音が小さくした。


 「カシャッ」
 
 「カシャッ」


 周りを見渡すと、皆の視線は黒板の前の雫に向かっている。

 動いて角度を変えたかったが、動くと撮影しているのが分かるので、保は席に座ったまま、写真を撮り続けた。


 雫は皆の視線を釘付けにする為、わざと大きく動きながら、写真を撮っていた。


 雫が葵たちを見ると、3人は何やらこそこそと話し合っていた。


 「写真に撮るなんて。先生に見せるつもりやで」


 みちるが心配そうな顔をしながら囁いた。

 「どうする気」

 リンが呟いた。


 「うちに考えがあるから、ほっとき」


 葵が二人を安心させている。

 
 雫は葵たちを睨み付けると、黒板の前から立ち去った。




 
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