としサバ

 タンタタタ タンタタ タンタタ タンタタ ・・・。



 二つの携帯のうちのひとつから、ロンドン橋の着信音が鳴り出した。


 葵はびっくりして、おろおろしていた。


 遠藤先生は雫を見た。
 雫は大きくこっくりと頷いた。


 「宮崎さん、授業が終わったら、職員室に来てくれる。分かった」
 「はい」
 
 葵は泣きそうな顔をしていた。


 遠藤先生は黒板の前に行き、
「パンパンパン」
と、両手を叩いた。


 「静かに。静かにするのよ。さあ、社会の教科書を開いて」


 遠藤先生は何事も無かったような顔をして、いつものように授業を始めた。


 みちるとリンは目と目を合わせて、大きくうな垂れていた。



 授業が終わった。





 
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