としサバ
 雫は授業の後片付けをしている遠藤先生の所に急ぎ足で行った。


 「先生、実は私、大事な話があるのですけど」
 「携帯に関係がある事かしら」

 「ええ。でも、それだけでは無いのですが」

 「そう、なら、宮崎さんの話が終わってから、職員室にいらっしゃい」

 「じゃ、そうします」


 雫は自分の席に帰る途中で立ち止まり、保を見た。

 保は自分の席に座っていた。

 雫は人目を気にすることなく、保の所に行った。


 「吉岡君、デジカメを持っている?」

 保は少し驚いたような顔をして、それから頷いた。

 「持っているけど」
 「それ、貸してくれない」

 「いいよ」
 「あれは、全部見られるよね」

 「ああ、ばっちりだよ」
 「吉岡君、感謝しているわよ」

 「いよいよだね」
 「これからが、逆襲よ」

 「頑張ってね」
 「ありがとう」


 雫は保のデジカメを持って、自分の席に戻った。

 葵とみちるとリンは、雫の方を何度も見ては、こそこそと話をしていた。


 遠藤先生が教室を出て行くと、葵も後を追うようにして、教室を出て行った。






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