としサバ
 葵はみちるとリンと3人で、校門から出て、家に帰る途中だった。


 「いっこも喋らないけど、先生に何言われたん」


 みちるが葵の顔を覗き込みながら、心配そうに話し掛けた。

 
 「・・・」
 「元気出してえな」


 リンは葵の腕を振りながら、懇願するように喋った。


 「うん」


 3人は歩いていると、小さな公園の脇に差し掛かった。


 「公園で少し話して行けへん」
 「そう、せえへん。なあ、葵」


 リンが葵を公園の入り口の方へ引っ張った。
 立ち止まっている葵の背中を、みちるも両手で押し始めた。


 3人は、何とか公園の中にあるベンチの所まで歩いて行った。



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