としサバ
 信彦は新聞を見るのが、怖かった。

 毎日、四友自動車に関する記事が掲載され、その度に四友自動車の株が急落する。


 次の日も四友自動車の株は売り気配で始まった。
 午前中は値が付かなかった。

 午後になって、漸く98円で値が付いた。


 信彦は売るべきか、持続するべきか、迷っていたが、今売れば、およそ800万円の損が出るので、売るのをとどまった。

 結局、その日はもみ合った後、92円で引けた。


 ラソタ自動車を売り抜けてすぐ、どうして自己資金を全部投入して四友自動車を衝動買いしたのか、信彦は頭を抱えて後悔をしていた。しかし、いくら後悔しても、後の祭りだった。
















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