としサバ
 女将の部屋は701号室だった。


 「近いんだなあ」
 「毎日、午前様よ。近くなければ、体が持たないわよ」


 二人は喋りながら、部屋の中に入った。


 「綺麗にしているね。女将はなかなかセンスがいいねえ」


 「出来るだけモノを置かずに、シンプルにしているの。スッキリしていると、すごく落ち着くのよ。モノがごちゃごちゃあると、それだけでいらいらする方だから」

 「大人っぽくて、僕は女将のセンス好きだなあ」
 「ありがとう。深ちゃん、お酒は、何がいい」


 「お酒は、もういいよ」
 「じゃ、シャワーにする」


 「ああ、そうさしてもらう」


 「私の浴衣を置いておきますから、良かった着てね。シャワーを済ませたら、先にベッドで休んでいて下さい」

 「ありがとう」


 信彦はシャワーを済ませると、バスタオルで体を拭き、女将の浴衣を着た。



 
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