としサバ
 穏便に済ませたい校長先生、吉川先生と、早急に厳しい手を打つ必要を説く教頭先生と遠藤先生。

 他の大勢の先生は、どちらに組みすべきか、議論に熱心に耳を傾けていた。

 それからも、二つの意見に分かれ、激しい議論が繰り広げられた。
 校長先生が左右を見渡しながら、議論を纏めようとしていた。


 「議論も出尽くしたようです。教頭先生や遠藤先生が言われることも最もな事です。連日のようにいじめがマスコミを賑わしている昨今、これは決して人事ではありません。我校がいつマスコミを賑わしても、可笑しくは無いのです。が、我校の生徒を信じ、彼らの可能性を摘み取らない事も、これまた大切な事です。

 今回の事件は、ひとりの男子生徒がお姉さんのパンツをはき間違え、それを見た生徒たちが、その生徒を侮辱した点にあります。勿論、模擬結婚式を行った事にも、責めるべき点はありますが、子供たちの悪戯がエスカレートしたものであり、大目に見てやるのも必要な事だと思われます。

 こういった事を考慮の上、生徒7名に対して、厳重注意。注意の度合いについては、担任の遠藤先生にお任せすると言う事で、暫く様子を見るというのはいかがでしょうか」

 
 大半の先生方は、校長先生の意見に賛同しているようであった。

 遠藤先生は、この処罰には不服があったので、教頭先生の顔色を窺った。

 教頭先生には、異議を挟む気配が感じられなかった。


 遠藤先生は、仕方なく職員会議の決定に従い、暫くの間、生徒たちの様子を見てみようと思っていた。




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