としサバ
 教室に入ると、雫は反射的に黒板を見るのが、癖になっていた。

 何も書かれていない事を確認すると、雫はほっと大息を付いた。


 その日、葵たちは可愛そうなくらい元気がなかった。
 葵たちを見詰めても、視線を外して下を向いている。


 放課後、遠藤先生に呼ばれたので、雫は職員室に行った。


 「先生、何か用事でしょうか」

 「あっ、今野さん、これありがとう。職員会議が終わったので、お返しするわね」


 遠藤先生は雫に携帯とデジカメを返した。


 「もう、これいいのですか」
 「デジカメの写真はプリントしているから、もう結構よ」

 「先生、職員会議の結果はどうなりました」
 「厳しく注意する事に決まったわ」


 「それだけですか」

 
 雫は不服そうな顔をした。



 
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