としサバ
 「保、トラがええ、それともスカンクがええ」


 石田が髪の毛を切りながら、髪型を保に尋ねた。

 「知らんわい」

 保はふてくされている。


 「トラはわかるけど、スカンクってどんな髪型や」


 山川が不思議そうに聞いている。


 「スカンクとは、いま一番流行の髪形やんけ」
 「はよ、言えや」

 「スカンクとは・・・」

 言いながら、石田は笑いをこらえている。


 「スカンクとはな、臭い臭い刈り方の事や」


 そう言いながら、石田は頭の毛を刈るのを止めて笑い出した。

 それにつられた3人も、笑い転げた。


 4人はいつまでも笑い続けていた。
 保は悔しさの余り唇を噛んでいた。


 雫の顔を思い浮かべ、保は心の中で雫の名前を何度も叫んでいた。




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