としサバ
 かの川に行くと、暖簾が下ろされていた。
 中には、女将がひとりで待っていた。


 「広ちゃんは」

 「もう、帰ったわ。今日は10時過ぎに、客が皆帰ったので、早めに店仕舞いしたの」


 信彦は、沙穂がまた電話してきそうな気がした。
 一瞬、考えて、信彦は女将を自宅に呼ぶ事にした。


 「今日はうちに来ないか」
 「いいの」


 「構わないよ。タクシーを呼んでくれないか」
 「歩ける距離でしょう。歩きましょうよ」


 二人は信彦のマンションまで、腕を組みながら歩いて帰った。

 帰る途中、コンビニで酒と肴を調達した。




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