としサバ
 「女王様、お休み」

 信彦も女将の顔を見ながら、知らず知らず眠って行った。

 朝、信彦が目覚めると、女将はまだスヤスヤと眠っていた。

 女将が目を覚まさないようにこっそりとベッドから抜け出すと、信彦は朝食の準備に掛かった。

 パンとコーヒー、ハムエッグをデスクに並べていると、女将が目を覚ました。


 「おはよう。いま、何時?」

 「おはよう。10時を少し回った所。よく、眠れたかい」

 「ぐっすり、朝まで一直線よ。今日の眠りは、特別おいしかったわ」

 「朝食、準備できたよ。女将の所みたいにはいかないけど」

 「ありがとう。頂くわ。気持ちのいい朝ね。わあ、緑が綺麗」

 「靱公園がすぐ隣だから、公園がうちの庭みたいなもんだよ」

 「緑が身近にあるのはいいわね」


 女将は公園の木々をじっと見詰めている。


 
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